2021(令和3)年11月28日 那珂組内の教徳寺本堂にて、教徳寺若院夫婦の結婚式が執り行われました。
那珂組の法中による雅楽の演奏の中、厳かな結婚式となりました
『 仏前結婚式 』
ご存じない方もおられるかも知れませんが、寺院の本堂では結婚式を挙げることが出来ます。
「仏前結婚式」といい、寺院に生まれ育った方の多くはこのように仏前にて結婚式を挙げます。
一般に認知度が高いとは言えませんが、それでもご門徒さんや一般の方にも仏前結婚式による挙式を選択される事もあり、現に那珂組内にも一年に数回の結婚式を行う寺院があります。
「仏前結婚式」という結婚式があることすらご存じなく、ご縁があって仏前結婚式に参加されたという方からも、「参加してみるととても良い結婚式だった」というご意見をよく聞きます。
厳かな雰囲気、雅楽の演奏などは神社での式でもあることでしょう。神仏に誓うのも、宗教施設で行う結婚式では共通している事だと思います。では、仏式は他の結婚式とどう違うのでしょう。
仏前での誓いとは
「仏前結婚式」では必ずお経をあげ、そして司婚者(執行する僧侶)が法話をいたします。そのことによって単なるお祝いの式ではなくなるように思います。
仏教は、良いときを共にするというよりは、大切な方を亡くされたなど、苦難や悲しみのときに寄り添う性質があります。
人生は結婚の有無に関わらず良いことばかりではないことは、生きているとだんだんとわかってくることです。それを脇に置いてお祝いとするのではなく、これからの人生に起こるであろう様々なことに、縁あって連れ合う2人が共に手を携え同じ方向を向いて互いを支え合いながら歩みます、ということを仏前に誓うのです。
阿弥陀仏の願いと共に
阿弥陀仏は、衆生の苦難や悲しみを私の苦難や悲しみとされ、だからこそ救わずにはおれないと願われたとお経に説かれています。その仏願を結婚生活の根本において、たとえ出来ない時があっても、私の事のように相手を思い遣り、出会えたことの有り難さを互いに感じながら過ごそうという目標を持った一日一日は、とても尊いものだと思います。
参加者の「良かった」というご意見は、本堂の仏前で行う厳かさと共に、このような仏前結婚式が持つ意義に共感して良かったと感じてもらえているのではないかと思っております。もちろん結婚式の儀式選択は、夫婦それぞれの選択でかまわないと思いますが、このような意義を持った「仏前結婚式」がその選択肢の一つになればと願っております。
専宗寺住職 佐野唯信