那珂組コラム

那珂組コラム

今月の法話 令和6年 9月[ 法善寺 楠 壽彦 ]

那珂組キッズサンガ in 糸島

子どもたちの夏休みも終わり、普段の日常を取り戻そうとしておりますが、暑い日が続きますと夏の初めを思い出します。

那珂組では『キッズサンガ』として子どもたちの長期休みに合わせてご門徒さまのお子様やお友達と一緒にご縁づくりの活動をしております。
サマーキャンプや西本願寺参拝などを通して、日頃お寺にご縁がない子ども若者にも手の合わさるご縁(仏縁)に出遇っていただきたく毎年計画しております。

今年は糸島へ海水浴やBBQ、二日目の朝には海徳寺さまにて晨朝参拝、宿泊した旅館の浜辺で地引網漁など普段できない体験を子どもたちと共に満喫させていただきました。

親元から離れ、知らない人ばかりの中で過ごす子どもたちの順応の早さには毎年驚かされます。
それ以上の不安のなか、お子さまを送りだしてくださる親御さまのお心には感謝ばかりであります。

旅行で楽しみと言えば何でしょうか。温泉で癒されたい、テーマパークで遊びたい、美味しいご飯が食べたい、と人それぞれに楽しみはあるでしょう。
では旅行で大切なことは何でしょうか。それはちゃんと家に帰って来ることです。
子どもの頃よく親や先生に言われました『家に帰るまでが遠足』と。帰る家があるから旅行は安心して楽しめるものです。帰る家が無ければ放浪という目的もなく彷徨っている迷いの路でしょう。

楽しい旅行だったけど家に帰ったら『あー疲れた』と思った経験は少なくないでしょう。
『温泉も気持ち良かったけど、やっぱり家のお風呂が落ち着く。』『ホテルのふかふかのベッドもいいけど、やっぱり自分の寝床が安心する』と家というのはとても大切な場所であります。

よく人生を旅、そして私たち人間を旅人として喩えられております。
私たちが旅行から帰る場所は家、いのちの還る所は…。
それは阿弥陀さまのお浄土です。
人生の旅を歩む私たちに『ちゃんと還る場所がありますよ』『安心して歩んで来いよ』といつでも、どこでも、誰にでも南無阿弥陀仏となって至りとどいてくださっております。
いのち終えてからの行き先、帰る場所が定まっていない苦しみ、悲しみだけの不安の人生ではなく、『空しくすごさせんぞ、かならず浄土に仏として生まれさせる』と願い誓われた阿弥陀さまのはたらきをサマースクールの子どもたちが親御さまのもとへ安心して帰って行く笑顔を通してお味わいさせていただきました。

『拝読 浄土真宗のみ教え』 【 浄土への人生 】

阿弥陀如来は、煩悩によってさとりに至ることのできない凡夫を哀れみ、あらゆる功徳を南無阿弥陀仏に込めて私たちにふり向けておられる。親鸞聖人は仰せになる。

「臨終一念の夕べ 大般涅槃を超証す」

いのち終えるとき、すみやかに浄土に生まれ、この上ないさとりを開かせていただく。南無阿弥陀仏のはたらきに出あうものは、むなしい迷いの生を二度とくり返すことはない。
如来のはたらきに出あう人生は、無常のいのちを生きながら、かならずさとりの浄土に生まれゆく、むなしく終わらぬ人生である。

南無阿弥陀仏

法善寺 住職 楠 壽彦