安楽浄土にいたるひと
今年の夏は連日の猛暑で、境内の彼岸花はお彼岸明けに開花しました。そして先日(10月中旬)に白い彼岸花が一輪だけ美しく咲いていて驚きました。
さて、私は自坊に入寺して約20年が過ぎ、沢山のご門徒の方々との出会と別れがありました。そのような中で入寺した頃から大変おせわになりました総代のO様が、この夏お浄土に帰られました。O様は早くから世話人、総代とご活躍いただき、昭和61年の本堂建て替えに際し、多大なお力添えをいただきました。
私達寺族にいつも笑顔で優しく温かく接してくだり、沢山の思い出があります。親鸞聖人750回大遠忌法要、念仏奉仕団には一緒にお参りいただきました。また、境内のしだれ桜を本堂でご一緒にお花見しました。戦争や地元の昔話をたくさん聞かせてくださいました。大切な思い出となりました。
仏教では「生者必滅・会者定離」とお教えいただいています。現世に生きているものは必ず命を終える。現世で会った者は必ず離れ離れになる定めにあるということです。家族、友人、愛する者との別れは「愛別離苦」つらく悲しく寂しい事です。総代O様は、お寺にご尽力いただき、何よりもお寺が大好きでご先祖を大事にお念仏の道を歩まれました。
安 楽 浄 土 に い た る ひ と
五 濁 悪 世 に か へ り て は
釈 迦 牟 尼 仏 の ご と く に て
利 益 衆 生 は き は も な し
(註釈版聖典560ページ)
と、還相の菩薩として、五濁悪世といわれるこの迷いの世界に還って来られ、お釈迦様が衆生を導かれたように、衆生を救うのであると示されます。
先立たれたO様は、お浄土でに生まれ仏様となられ、この私を導いてくださっている事と味わわせていただきながら、お念仏の日暮しを送らせていただきます。
合 掌
光行寺 住職 平川 泰弘