那珂組コラム

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今月の法話 令和4年 12月[ 円龍寺 高原真証 ]

円龍寺の裏側には、円龍寺幼稚園があります。お寺の幼稚園なので、いのちを大切にする事、感謝の気持ちを持つと言う仏教保育に努めています。
ちょうど掲載される12月には、お正月を迎えるにあたり、園児による餅つき大会をやっています。子どもたちを見ていると自分も歳を取ったなぁと、つくづく実感させられます。

因果の道理

多くの人は意識するとしないに関わらず、自分の知性や知識、感受性や意識を頼りに生きています。その他にも、自分の学歴や肩書き、財力などを拠り所にして居る人もありますね。
私はそれがつまらないものだとは考えません。大切なものですし、それを得る為に努力する事も意味のある事でしょう。しかしながら、そういったものを拠り所にする人生でも、人間生きようとしても限りがあり、必ず終わりが来ます。

人間の一生を枡形と考えると、人生の中に一番大きな悩み事を枡形の中に入れますと「因」(物事の始まり、起こり)と言う字になります。

「因」と「果」という言葉が表す通り、原因と結果は必ず結びついています。心の中に起こる、あらゆる悩みの種である原因を、「南無阿弥陀仏」を唱えさせていただく事で、仏心の眼を通して自分を見つめる事ができ、何事も「ありがとう」と「おかげ様」の気持ちで受け入れる事ができるのではないでしょうか。

私があるご門徒さんのマンションに月忌参りに行った時のことです。私は本来足が悪くてエレベーターに頼っていたのですが、そのエレベーターの前に「点検中」と書いてありました。管理人さんから「階段しか使えないよ」と言われましたので、痛みを堪えながら階段で3階まで上がって行きました。その時のご門徒さんの会話でひょっとしたら「仏様が私に運動不足やから階段を使いなさい」と言って下さったのではないかと、お互い笑ってしまいました。

つまり因果の道理を仏様の心で発見する事が、自分自身の心の持ち方、受け止め方で恩につながることではないでしょうか。

合掌

円龍寺住職 高原 真証