明けましておめでとうございます。新たな年を各々お迎えになられていることでしょう。
日本のお正月に欠かせないものといえば?そう、『おせち料理』ですよね。ご自宅で作る方もいらっしゃれば、最近はデパート、おせちを専門とする通販で早々と8月のお盆を過ぎた頃からインターネットでの注文を受け付け始めるところもあります。時代は変わりましたね。
「おせち」の起源
おせち料理の起源はなんと1000年以上も前の平安時代といわれています。
それまでも弥生時代頃から、季節の変わり目である『節』に神様へ収穫した作物をお供えする『節供』と呼ばれる風習があったそうです。
それが由来となり、平安時代の宮中で『おせち料理』の習慣が生まれたと言われています。平安時代の宮中では季節の変わり目となる『節日(せちにち)』に儀式と宴会が開かれていました。そのことを『節会(せちえ)』と言い、正月を含む5つの節の日『五節会(ごせちえ)』と呼ばれ、特に重要視されていました。この重要な日に振る舞われた料理を『御節供(おせちく)』と言ったそうで、『御節(おせち)』の語源となったとされています。
今のように重箱に料理を詰めるようになったのは、江戸時代後期から明治時代になってからで、縁起物であるご馳走を重箱に詰める事で、『幸せを重ねる』という意味合いを持たせたのです。『おせち』の呼び名が全国に広まったのは戦後になってからだそうです。
親から子へ伝えるたいせつなこと
仏教徒でもお供えをしますが、神事、仏事でも根本的には変わらないという点にあります。
小さなお子様がいらっしゃるご家庭では、頂き物をされたら、真っ先に『まんまんちゃんにお供えをしておいでね。』と教えますね。幼い頃に手を合わせる経験があるかないかでその後の生き様に変わっていくでしょう。幼少期の経験が有るからこそ、目には見えなくても仏様はいるんだよという感覚がずっと備わっているのです。自分の力や意思でしてると思っても、本当はそうではないんだという教えがすんなり入ってきます。しかし、子供の頃にそうした経験がなければ、わからないでしょう。基本は子どもの頃の経験、体験が親の言葉で教えるのではなく、一緒に見せるという態度が大切ですよね。
あるがままに、そのままでいいー
いつもおせちを作る頃になると、こんなにたくさんの種類をつくらなければ?こんなに豪華なおせち?こんなにお金をかけないといけない?という幾つもの疑問が頭をよぎっていました。
昨年の12月、義母である前々住職から受け継いでいる寺の掲示板に『小欲知足(しょうよくちそく)』[ 様々なものを欲しがらず、現在の状態で満足する事。欲張らないで与えられた現実を素直に受け入れる事 ]を掲示した際に、あ、これでいいんだと、あるがままに、そのまんまでいいんだと気付かされました。
「しあわせを重ねる」年となる様に仏法を頂戴しながらの手を合わせる日暮らしを送らせていただきたいものです。
合掌
大光寺住職 佐々木恵子