那珂組コラム

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今月の法話 令和6年 5月[ 浄運寺 白山義章 ]

「帰敬式、それはあなたの2回目の誕生日」

これは築地本願寺のホームページ内にある「帰敬式」のページにある言葉です。そしてこのように続きます。

「あなたが生まれたときが1回目の誕生日。 そして、あなたが法名をいただいた日、仏弟子として生まれた日が人生2回目の誕生日です。 授かった法名は、嬉しいとき、そして苦しいときにも、 仏さまの み教えを依りどころとする 人生の道しるべとなるでしょう。」

そうです、法名は私にとってのブッディスト・ネームです。

法名は亡くなった方につける名前ではないのですよ、とお話しすると驚かれることがあります。先日は、亡くなられて初めて葬儀のご縁をいただいた方に「故人は法名お持ちでしたか?」と聞くと「持っていません」とお答えになりました。「それでは帰敬式を行って法名をつけさせていただきます」と言うと、「戒名なら持っています」とおっしゃいました。

「法名」は「戒名」ほど馴染みのある名称ではないということでしょう。本願寺派では、帰敬式を受式され、仏弟子となった方には本願寺ご住職(ご門主)より法名が授与されます。この帰敬式は京都の本山本願寺ではほぼ毎日2回執行されています。(1月1日・1月16日の晨朝後および1月8日・12月20日の終日を除く) また、本願寺の別院や教堂で受式できる機会もあります。

ちなみに本願寺福岡教堂では毎年1月下旬の報恩講にあわせて帰敬式を執り行っています。

そして、ご生前に帰敬式を受けるご縁がなかった場合に限って末寺のお寺の住職がご本山のお手代わりとしてご遺体の上で帰敬式を執り行い法名を授けることができます。

浄運寺では数年毎に念仏奉仕団を企画しご門徒の方々と共にご本山参拝をするようにしています。昨年12月に行った時には参加者25名のうち14名が帰敬式を受けられました。最高齢は88歳の男性です。以前から帰敬式を受けたいとお話しされていたのですが、ようやくこの度受けることができて大変喜ばれていました。また、その様子を寺報に掲載したところ、次は連れて行って欲しいと数名の方から言われました。

自分の名前がなかったり、私は誰でもないという状況ほど心細いものはありません。名を呼んでもらうことができる、または名乗る名前があるということはとても有難いことです。帰敬式で法名をいただき、仏教徒としての自覚をもって生きていく人生は支えられていると感じることのできる安心の道を歩ませていただくことになるでしょう。

「法名」と「戒名」の区別がつかなかった人にとってみれば、亡くなられた身内が仏の身となって通夜や葬儀といった仏縁をご用意くださった訳です。その縁にあわせていただき、気が付けば手を合わせお念仏申す身とならせていただいたことに感謝せずにはいられません。

合 掌

浄運寺 住職 白山 義章

【帰敬式】とは、阿弥陀如来・親鸞聖人の御前で浄土真宗の門徒としての自覚をあらたにし、お念仏申す日暮らしを送ることを誓う、私たちにとって大切な儀式です。 この帰敬式を受式され、仏弟子となった方には本願寺ご住職(ご門主)より法名が授与されます。 帰敬式を受式し、共にお念仏を喜ぶ人生を歩みましょう。(本願寺ホームページより)