那珂組コラム

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今月の法話 令和6年 7月[ 光照寺 郡島朋昭 ]

『気が付かなくても輝いている』

最近、小学校時代の同級生に30年以上ぶりに再会する機会に恵まれました。

どれだけ時間がたっていても、目の前にその人が現れるとあんな事があったこんな人だったと記憶の奥底からいろいろな思い出が湧き出てきて楽しい時間を過ごすことができるものです。

彼が我が家の子どもが習っているスポーツ教室の送迎ドライバーをしている人物であったことが再開のきっかけだったので、毎週一度は声を掛け合うことができるようになりました。毎回一言二言の会話ですが、会話の度に様々な発見があります。いつも彼と言葉を交わした後は一人の人間の人生とはかくも大きく深いものなのだと一人で感心しています。

当たり前のように過ごしている私たち一人ひとりの日常は、改めて考えると膨大な情報の積み重ねです。

「元気にやっていた?」

「うん、特に代わり映えのしない毎日を送っているよ」

と、つい一言で言い切ってしまうような自分にとっては何気ない日常でも、本当はかけがえのない瞬間の積み重ねです。

当たり前に楽しく過ごしていた小学生時代の思い出が今とてもまぶしく輝いているように、当たり前に過ごしている今この瞬間も今まさに輝きの中にあるのだろうなと思います。

私自身はいつか振り返ったときにしかその輝きに気が付けないのかもしれません。ですが、私が気付かないだけでこの瞬間もいのち輝いているはずだと彼との再会が私に教えてくれました。

私の輝きと彼の輝き、互いに喜び合い照らしあっていける時間を過ごしていきたいと心から願うことでした。

光照寺 住職 郡島 朋昭