那珂組コラム

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今月の法話 令和3年 7月[ 浄運寺 白山 義章 ]

7月といえば、毎年仙台へ来ていました。
東日本大震災被災地域の、特に放射能の影響で思う存分外で遊んだりする事が出来ない子どもたちに夏休みを利用してゆっくりと楽しい時間を過ごしてもらおうと福岡に招いて協力寺院に泊まってもらうホームステイを行う安穏交流プロジェクトのスタッフとして関わらせていただいていました。
7月始め頃に現地説明会を行います。仙台別院や福島県内のお寺さんなどに会場を提供していただいて、子どもを預ける親御さんとスタッフが顔を合わせて説明会を開催します。預ける方も顔が見えて安心されますし、預かる方も事前に本人やご家族とお会いする事で不安な点や気を付けるべき事を再認識できるとても良い機会となります。

あるとき、一度参加して良かったからと二度目の参加を決めて下さったご家族がありました。
その説明会で親御さんから思いがけない嬉しいご報告をいただきました。
昨年子どもさんがこのホームステイに参加され、行程の中で京都の本願寺へ参拝されたことを聞かれたそうです。お子さんの話してくれる京都の本願寺を是非一度自分も参拝したいと思い、家族旅行で京都を訪れ、本願寺に参拝してきたとのことでした。

  

わたしはこの言葉を聞いて嬉しく思うと共にハッと気付かされました。
このホームステイ事業と関わりがなければ、ひょっとしたら一生本願寺に参拝することはなかったかもしれない。それが不思議なご縁で気がつけば手を合わせる身にならせていただいているのです。

ああ、弘誓の強縁、多生にも値ひがたく、真実の浄信、億劫にも獲がたし。たまたま行信を獲ば、遠く宿縁を慶べ。
『顕浄土真実教行証文類(上)原文・現代語訳』4頁 本願寺出版社より

これはご本典にある親鸞聖人のお言葉です。

ああ、この大いなる本願は、いくたび生を重ねてもあえるものではなく、まことの信心はどれだけ時を経ても得ることはできない。思いがけずこの真実の行と真実の信を得たなら、遠く過去からの因縁をよろこべ。
『顕浄土真実教行証文類(上)原文・現代語訳』5頁 本願寺出版社より

私たちは何事も自分で決めて自分の意思で行動していると思っていますが、そんな私の小さな心をはるかに広く深い大悲で、すでに包み込んでくださっていた阿弥陀さまのお働きを感じる時、心からホッと有難いと思います。