那珂組コラム

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今月の法話 令和4年 10月[ 光行寺 平川弘道 ]

10月(神無月)は一般的には衣替えの時期ですが、まだまだ暑い日が続いています。


私事ですが、今月10月に母の十七回忌を行います。母は此処、光行寺で生まれ育ち在家の父と人生を共にしました。私が幼少の頃、ご法事の手伝いだったのでしょうか、3つ違いの姉と双子の兄と4人で、毎週のようにお寺に行ってました。お寺に着くとすぐに母は、私たちに「本堂行くよ!」と声を掛け、4人並んで手を合わせていました。最後までゆっくりと手を合わせていた母の姿を鮮明に覚えています。今思えば、母が5歳の頃戦死された、前々住職である祖父やご先祖様を、想い敬い忍びながらのお念仏だったのでしょう。

その後、母は50代後半にアルツハイマーを発症し、10年程経った平成18年10月28日に67歳で往生しました。私は同年2ヶ月前の8月に、母の弟である前住職の後を継ぐ為得度をしました。母は前住職が亡くなった事、私が僧侶になった事も知らずに往ってしまいました。そして10月30日、私が導師として勤める、初めてのお葬儀で母を送りました。その時、私は棺に「お浄土で会いましょう。」と書きました。

仏説阿弥陀経に『俱会一処』というご文があります。先だった方にお浄土で会える、俱(とも)に一つの処(ところ)であうという意味です。私はご先祖様の導きだったのでしょうか、有り難いご縁で母の実家である光行寺で浄土真宗のみ教えに出会わせていただき、お念仏を申す日々を送らせていただいております。

「なごりおしくおもえども、娑婆の縁つきて、
ちからなくしておわるときに、かの土へはまいるべきなり。」  『歎異抄』

私もいつか命終わるとき、両親や先立って往かれた方々に、胸を張ってお会いできるよう、残りの人生を精一杯歩んでまいります。
母の十七回忌近まってまいりました。今夜は、悲しく寂しく、涙の晩酌となりそうです。

合 掌

光行寺住職 平川弘道