那珂組コラム

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今月の法話 令和5年 7月[ 月隈真教寺 月江英昭 ]

なんまんだぶつ

先日、お葬式をさせていただきました。いつも通りなら司会者が「故○○様の葬儀を執り行います。導師は浄土真宗本願寺派真教寺ご住職です。導師入場、導師にあわせて合掌、礼拝」となるのですが、この日はちょっと違いました。「導師入場、導師にあわせて合掌、お念仏申しましょう、礼拝」とアナウンスされたのです。

一瞬びっくりしましたが、私もお念仏申しながら聞き耳をしました。しかし、会葬者の方々からのお念仏の声は聞こえませんでした。

私の寺でも、ご法事の時のお参りでは全く声は聞こえません。そこで、ご法事の都度「合掌、礼拝の時は声に出してお念仏を称えましょう」と言い続けています。最近は少し声が聞こえてくるようになりました。ある時、お参りに来られた一人の方に訊ねました。「お家では称名念仏しておられますか。」と問いますと「家では仏壇の前で合掌礼拝しますが声は出ません。」と。

まずそこから始めて下さい。お仏壇の前に座って、称名念仏しなければと思いながら、勇気を出して声に「なんまんだぶつ」とお念仏申して下さい。それが習慣になれば自然とどこでも称名念仏することができるようになるでしょう。

本願寺派に『法式規範』という決まり事があります。その中の一般作法として合掌、礼拝の仕方について次のように定められています。

【合掌・礼拝】

《合掌》両手に念珠をかけ、十指をそろえて伸ばし親指でかるく念珠をおさえ、両肘を張らずに両手を両乳の間およそ中央にかるく着けて、指先を上体と約45度に保って[称名]する。

《礼拝》合掌の姿勢をして、しずかに上体を約45度そのまま前方に傾けてから、おもむろに元の姿勢にもどし、合掌をやめる。

このようにあります。また本願寺では、いつの頃か忘れましたが『念仏の声を 世界に 子や孫に』というスローガンのもと、称名念仏することをすすめていました。

何よりもまず、自分だけでもお仏壇の前に座って、声に出さなければと意識して「なんまんだぶつ」と声に出しながらお参りをいたしましょう。ご自身に声が出はじめましたら、その次はご家族にも薦めましょう。そうすれば、いつの間にかお参りをする時は、必ず称名念仏、つまり「なんまんだぶつ」の声が出てある姿になることでしょう。

なんまんだぶつ なんまんだぶつ

月隈真教寺住職 月江英昭