那珂組コラム

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今月の法話 令和5年 9月[ 光蓮寺 簑原智海 ]

浄土真宗には「初参式(しょさんしき)」という行事があります。

多くのご縁の中で恵まれた子供の誕生を阿弥陀様に報告し、預かった尊い命を、み教えの中で手を合わせながら育てていきますと誓うお勤めです。そして同時に、子供たちにとっては、初めて阿弥陀様にお遇いし、絶えることのない仏縁を結ぶ瞬間でもあります。小さな子供たちの初めてのお参り、その大切なご縁を、阿弥陀様の前で皆で共にお祝いする行事が初参式です。

光蓮寺では45年前から毎年初参式をお勤めしてきました。両親に抱かれて初参式を受けた子供たちが今、親となり子供を抱いて初参式を受けられます。

式中に子供たちが泣き出したり、動き回ってしまうこともありますが、それを見守る皆が笑顔になり本堂が優しい雰囲気に包まれます。そして何よりも、子供を膝に抱き、小さな手を包むように一緒に手を合わせるその姿に喜びと尊さを感じながらお勤めさせていただいています。

私たちは子供の健やかな成長と安らかな毎日を願います。でも、その通りにはいかない日もあります。苦しいこと、悲しいこと、親として思い悩むこともたくさんあります。それでも私はこの子と一緒に生きていこうと願う。この子が苦しいなら寄り添い生きていこうと願う私たちです。

私たちが子供のこれからを願うように、親としての自分のこれからを誓うように、あなたのことを常に見守りながら、いつでもどこでも願い続けようと誓われた仏が阿弥陀様という仏様です。

どうぞ皆さま、子供と一緒に阿弥陀様の前で手を合わせてください。阿弥陀様の願いの中で子供を育てるということは、私自身が阿弥陀様の願いの中で育てられていくということ。初参式は子供から与えられた尊い仏縁です。

合掌

光蓮寺  簑原 智海